トラブルの8割の原因はお客様の二枚舌
太陽だって地球の裏側を明るくすることはできない
クラブ業において、人間関係のトラブルはつきものです。ホステス同士のトラブル、ホステスと黒服のトラブル、頻発します。前向きに仕事を進めるためのトラブルは歓迎すべきことですが、そうとも限りません。むしろあまり意味をなさない時間と労力がただただ無駄になるトラブルが多く、そしてその原因の8割はお客様の2枚舌によりものです。
お客様の声に耳を傾ける
これはとても重要です。お客様の要望に応えてこその商売ですから、絶対にしなくてはならないことです。しかし、お客様の発言には必ず意図があり、それが皆に共通した一貫性のある意図とは限らない点には注意が必要です。
お客様の二枚舌
お客様が飲みに来る目的はそれぞれでしょうが、少なくとも嫌われたくて飲んでいる人は存在しません。そして、女性の前では全力で格好つけるのが男というもの。つまり、関わっている複数人の女性にそれぞれ、「良いこと」を言っている可能性があるということ。
二枚舌はお客様の当然の権利
二枚舌と聞くと、「信用ならん」と良くないイメージが頭に浮かびます。しかし、お客さ様の二枚舌は、当然の権利です。なぜなら、極端な話、二枚舌でホステスや黒服が揉めようがあまり関係ないからです。もちろんそこらへんから人間性が垣間見える部分ではありますし、一貫性のある男性が女性からもてるのは確実でしょうが、それはあくまでお客様自身の考え方の話。お金を頂くお客様にそこまで期待するのは求めすぎです。
「あのお客さんは嘘言わない」の裏側
それが全くの嘘であれば、まだ分かりやすいです。しかし、銀座のお客様はみんな本当に頭が良いです。だからこそ、嘘ではない真実の表現方法を、話す相手によって「良く聞こえるよう」に変えるのがとてつもなく上手です。しかしその表現方法の違いは、話の受け取り手の解釈によって180度結論すら変えます。
さらに複雑な人の本能
人は本能的に、「真実を信じるのではなく、真実であって欲しいと望んでいることを信じる」という傾向にあります。つまり、お客様のどっちともとれるようなあやふやな表現を、それぞれが自分の望む方向性に解釈をしてしまうわけです。お客さんも表現を都合よく変え、受け取りても都合良く解釈を変えていたら、そりゃ真実からかけ離れていくことは明らかですよね。
Aさんの解釈とBさんの解釈が全く異れば
そりゃ揉めます。そのお客様は嘘を言わない信用できる方であればある程、お互いに嘘つきと言い合うことにも発展します。そしてちなみにお客様もAさんもBさんも誰一人嘘を言っていません。しかも最悪なのが、誰も嘘を言っていないので、第三者が仲介しようにも、解決策が見出すのがかなり困難です。どう考えたって、こんなトラブル起こらない方が良いに決まっています。
トラブルの防ぐために、お客様の言葉の真実を追及するべきだが
重要なのは、その言葉が真実かどうかを追及することではありません。当然追及するにこしたことはないですが、なかなか追及しきるのは時間も労力もかかります。追及の間に、また次の課題が出てきて、もうパニックになります。
「そういう可能性もある」を常に懐にしまっておくのが最も効率的
その言葉を信用するとかしないとか、そういう問題ではありません。その言葉の裏には、意図してか、あるいは意図していないとしても不確実なことがある、ということを常に認識した方が良いです。例えば、お客様から、「Aちゃんって変な子だよね」と言われたら、
①Aちゃんは本当に変な子
②他の子を落としてあなたのへの一途な興味を示したいだけ
③Aちゃんを口説いたが口説けなかった
等々様々考えられます。そもそも、お客様のご意見はとても貴重ですが、特に人やお店の印象のような評価基準が人によって曖昧なものについては、あくまで常に一側面からのものという事実も必ず覚えておくべきでしょう。
「どっちでもいいや」という感覚
現段階では、その選択肢の真実がどれかは分かりません。追及する時間も術もありません。であるならば、どの選択肢だとしても対応できる準備をしておくしかありません。ただ、こんなことを考えていると実はこんなことに気がつきます。大概のことがどの選択肢だとしても、やる準備や行動があまり変わらないということ。要は、どんな選択肢であってもあまり関係ないということです。「どっちでも良い」のです。
太陽だって地球の裏側を明るくすることはできない
クラブ業はチームで売上を上げる以上、同じお店に勤める女性や黒服は仲間です。仲間の協力なしには、成功は成し遂げられません。確かに、いろんな人間がいる以上、あなたの足を引っ張るようなしょうもない人間も沢山いるのは事実ですが、そんな人達、そして証明するのが極めて難しい良く分からない情報で本当に価値のあるものまで見逃してしまっては実に勿体ないことです。