「噂話」という猛毒から降りかかる思いもよらぬ大火傷
かの男は、情報操作の技術だけで王様となった
噂話はこの上な美味な酒の肴になりますよね。情報過多なこの時代で、人は情報の8割を噂話から得ているといっても過言ではありません。しかし、その噂話ってとてつもなく恐ろしいものだと感じたことはりませんか。なぜなら、その話の出どころや広がった経緯すら不明なことがほとんどです。その程度の情報にどこまで信頼性があるのでしょうか。
人の悪い噂を聞いた場合、あなたならどうしますか。軽い気持ちで、同僚のAさんにその噂を話してしまうのではないでしょうか。AさんはまたBさんに話します。そして、その悪い噂は無限に広がっていきます。
噂話の信頼性をわざわざ確認する人なんてほとんどいない
あなた⇒Aさん⇒Bさん⇒etc..の無限ループにおいて、その噂話の信頼性をきっちり確認した上で他人に話している人なんていません。その噂話自体の信頼性ではなく、誰から聞いたか、を優先しているだけです。驚くような噂話だけど、あの人は適当なことを言うわけないし、きっと事実なのだろうと。しかし噂話の恐ろしいところは、適当なことを普段言わない人であっても、その信頼性をきっちり確認するのは至難の業という点です。結果、嘘を言っているつもりはないのに、実は真実ではないことが噂となっていることが大いにあるのです。
適当な判断で嘘つきと思われないように
あなたは適当な人、嘘つき、と思われたい人なんていません。でも話題として噂話を共有したい。こんな時人は、状況をみてそれっぽい小さな事実をこじつけ、あたかもそれが確からしい証拠のように語ります。場合によっては偽装して話をとてつもなく膨らまします。そして噂話だけどきちんと証拠もあるからこれは真実でしょ、私情報通でしょ、とその場を盛り上げるわけです。
噂話は美味しすぎて止めることは不可能
こんな流れを聞くと、噂話ってしょうもない、と思う人もいるでしょう。しかし、現実的にこんなにしょうもない噂話を撲滅するのは不可能ですよね。なぜなら、最高の酒の肴になりますし、大して努力してない人にとってはお客さんと盛り上がる会話の引き出しなんてほとんどありませんから、盛り上がりやすい噂話に頼るしかありません。
火の無いところでも煙はたつ
よく火の無いところでは煙はたたないと言いますが、火が無くても煙がたちます。たっているところを再三見てきました。原因は、その噂話の出どころに悪意をもった色んな思惑がある可能性があるからです。いわゆるネガティブキャンペーンというやつです。クラブ業は商売柄、お客さんの取り合いになります。ましてやクラブ業自体の意義が薄れ、お客さんの絶対総数が減ってきている今、その競争は日々激化しています。そうなってくると、自分の価値を上げるのではなく、競合の価値を下げることを考える人が出てくるわけです。しょうもないという議論は置いといて、戦略としては合理的です。だから止められません。
噂話で起こる思わぬ大やけど
ネガティブキャンベーンが広がることによって、その対象となっている人がやけどする可能性は大いにあります。しかしそうではない、隠れた大やけどが存在します。例えばこんなケース。
あなたはある噂を聞きつけ、そのまま同僚のAさんに話します。そしてAさんはまたその噂を同僚のBさんに話します。その際よくBさんはこう聞きます。「へー、そうなんだ。ちなみにそれって誰から聞いたの?」と。そしてAさんはあなたの名前を軽い気持ちで伝えます。はい、大やけど確定。その噂話は、噂話の内容と一緒に「あなたが言っていたらしいんだけど」というワードと仲良く広がっていきます。結果、あたかもあなたがその噂話を言いふらした人、悪口の発端、のような扱いになります。あなたは軽い気持ちで聞いた噂話を話しただけなのに。噂話を止めるのは不可能、であれば、少なくともしょうもないこの大火傷だけは避けなくてはなりません。
噂話に対して、常に理由、そしてその裏側の背景を考える
例えばとあるお客様が、「あの店は女性の数が少なし客層も悪い」とネガティブな噂話を言っているのを耳にしたとします。そのお客様はあなたには誠実に見え、嘘などつくような人ではないように見えるとしましょう。
ここで考えるべき選択肢は、
・全て事実でそういうお店である可能性
・お客様が飲みに行ったタイミングが、そのお店がとても忙しく、女性の数が足りていない状態であった。また目の前に一見やんちゃそうな若いお客さんが座っていた、等の偶然が重なっただけで、実はそのお店の本来の姿ではない
・他のお店を下げることで、あなたへ何かかしらのアピールをしたかった
このあたりではないでしょうか。
この段階でどれが正解を言いあてるのは不可能ですし、必要もありません。重要なのは正解を探すことではなく、常にこういう選択肢が存在していることをまずは考えることです。噂話には、事実どうこうではなく、「その語り手の考え方やたくらみ」が必ず入り込みます。必ずです。
常に選択肢の存在を知っている人は伝え方に現れる
しょうもない噂話なんて一つも誰も得しないから自分は話さない、という強い意志も素晴らしいと思います。しかし生きていて、いろんな会話の流れや状況もあるでしょうから、なかなか噂話と一切関わらないというのは現実的ではありません。しかし、既にあなたは噂話には選択肢が常にあることを知っているので、噂話を聞く時、話す時いずれの場面においても、その姿勢に必ず現れます。思わぬ大やけどする可能性もかなり下がるでしょう。
かの男は、情報操作の技術だけで王様となった
全ての情報は、語り手のその語り手の考え方やたくらみが必ず入り込みます。情報過多な時代において、この現実は大きく現実をねじまげる可能性が高いです。例えばネットの情報もその最たる例の一つです。ネットに載っている銀座クラブ情報。どこも高級で由緒正しく素敵なお店に見えますよね。もちろんそのサイト運営者の方が銀座クラブの全てを比較して、結論として素晴らしいお店だと判断して情報を載せていることもあるでしょう。しかし可能性として、そのお店から広告料をもらって紹介しているという可能性も十分にあります。その場合は、そのお店の本当の実力なんて分かりませんよね。
重要なのは正解ではありません。全ての情報が選択肢をもっているということを理解することです。この認識が、あなたがどの情報を正しいと判断するかどうかの大きな助けになるのではないでしょか。